システムレビュー
秘神(ひめがみ)大作戦〜Tokyo-Noir-City〜
1.はじめに
時代は大正。
魔風恋風そよふく帝都に、邪悪な魔人の笑い声がこだまする・・・!
いましも邪神の生贄に捧げられんとする可憐な乙女を守るため、
立ちあがれ、帝国古代遺産管理局!!
秘神大作戦カバー裏より抜粋
今回みなさんにご紹介するTRPGは「大正伝奇浪漫RPG」秘神大作戦です。
TRPG新作ラッシュであった、2003年に発売されたこのシステムは
PC達の背後に古代神が浮かび上がるところから、某漫画を連想させ
「JOJO」と呼ばれたり。巨大な鉄の人形に神を乗り移らせて
PC達がその手に乗り戦うところから「鉄人28号」と呼ばれたり、
TRPGプレイヤーの期待は中々に高かったのではないかと思われます。
ですが現在はエルスウェアホームページのサポートコーナーも
2004年一月を最後に更新停止し、
コンベンション等でも、遊んでいる光景を見ることは少ないでしょう。
しかし、舞台である大正時代そのものの魅力を、余すところなく詰め込んだルールブックは
読むだけでも面白く、古代神の力を借りて様々な能力を得たPCが、邪神を復活させんとする
秘密結社と戦うという、娯楽小説のようなストーリーを楽しむ事ができるこのシステム
を遊ばないままに忘れられるのは非常に惜しい。
大正時代という近くて遠い、懐かしくエキゾチックな異世界で、
みなさんにも遊んでいただきたい。
大正は面白いんだよっ!!(戦闘竜)
2.PCの立場と世界観
2−1 PCの立場
PC達は、古代神の末裔として邪神を復活させ、我が物としようとする秘密結社と戦います。
秘密結社の教祖もまた、古代神の末裔であることが多く、彼等は「魔人」と呼ばれています。
日本は超古代文明の聖地として、多くの邪神が封印されています。
そのため世界中から「魔人」達が邪神の封印を解くべく日本へわたってきています。
彼等の邪神復活の儀式には、邪神に捧げる生贄が必要不可欠であり、
生贄とするために、穢れ無き少年少女が秘密結社によってさらわれる事件が
近年帝都東京で急増しています。
こういった、秘密結社に対抗するために日本政府と、末裔達をとりしきる秘神家が協力し、
秘密裏に「帝国古代遺産管理局」を設立しました。
「帝国古代遺産管理局」は邪神に対抗するため全国の末裔達に協力を要請しています。
その全国の末裔達がPCとなるわけです。
PC達の目的は
魔人の暗躍を阻止すること。
邪神の復活をさまたげること。
PC達は自分にそなわった古代神の声に耳をかたむけ、
秘密結社との戦いに身を投じていきます。
2−2 戦いの舞台、帝都東京
このシステムの中で一番力を入れているように見えるのが、
舞台である帝都東京の資料の多さです。約20ページにわたって東京の名所案内。
時代背景や東京での暮らし、ファッション、科学、娯楽まで様々なものが載せられています。
中でも目を引くのがこの時代のアイテムで、
キャラメルやカルピスやキューピーマヨネーズといった我々にも馴染み深いものから
ガラス製蝿取り器や紙芝居など懐かしさを感じるものまであり。
大正という時代の面白さを感じることができます。
このゲームをやる上で重要なのがGMがいかに資料を読み、大正という時代を
表現できるかにあるとおもいます。明治の文明開化から第二次世界大戦まで、
近代化を駆け抜けた日本独特の文化が花開いたのがこの大正時代です。
上野公園で桜を見て両国国技館で相撲見物。銀座でカレーを食べて浅草の活動写真館へ
街を歩けば文士達がカフェで語らい、路面電車が街を走ります。
ふと見れば華族のお嬢様が優雅に歩き、軍人がサーベルをさげて闊歩します。
夢と浪漫と危険な香りあふれる自由な時代大正。
そんな時代を舞台に、みなさんは愛する街を守って戦うのです。
3.判定とキャラクター
3ー1 判定
まず、このゲームにおける判定システムは能力値+技能レベル+3D6で
行動の成否を決定する、いわゆる上方ロール。出目によっては大成功、大失敗もありますが、
シンプルでわかりやすい判定方法です。
3−2 能力値と技能
キャラクターシートにある能力値には、
活劇(運動や格闘などにつかわれる能力)
対応技能例:撃剣、運転、運動など
浪漫(知覚や芸術、霊的な能力)
対応技能例:音楽、家事、知覚、霊感など
才知(語学や資料検索などにつかわれる能力)
対応技能例:語学、書物、電気/機械など
社交(対人関係の技能につかわれる能力)
対応技能例:うわさ、弁論、誘惑など
以上の四つがあり。
技能は戦闘に使われやすいものと調査などに使われやすいものに別れます。
3−3 職業
このゲームのキャラクター作成のメインはこの職業選択です。なぜならば
プレイヤーは職業ごとに用意されたデータをキャラクターシートに写し、
それからボーナスポイントを割り振っていきます。
キャラクターを一から作っていく事はできませんが、その職業ごとに活躍しやすいような
能力値、技能になっているためそう困る事はないでしょう。
選択することができる職業は
学生 新聞記者 大陸浪人 医師 霊能者
書生 文士 考古学者 俳優 武術家
女学生 女給 技術者 高等遊民 革命家
私立探偵 特務将校 芸術家 政治家
の19種類で、時代性を反映したものです。
それぞれ得意な技能や所持品、社会的な立場など違いがあり、全職業に
どこかで活躍の場があるでしょう。
3−4 秘神
PCは全員、邪神と敵対している神々=秘神を体の中に宿らせています。
秘神の能力はもちろん、容姿や性格まで決めることができ、
ロールプレイをふくらませるのに役立つでしょう。
秘神を決定する時に、同時にPC達が使う事ができる特殊能力《アーツ》も選択します。
古代神を自分に憑依させて戦う(JOJO)《憑神術》と、
超古代文明のロボット兵器『鉄神』の内部に古代神を憑依させることで、
『鉄神』をあやつってたたかう(鉄人28号)《操神術》の二つがあり。
《憑神術》では、風をまとって空を飛んだり、ぬいぐるみなどにかりそめの命を与えたり、
テレパシィで会話したり、過去にあったできごとを見たり、分身したりと
様々な事ができるようになります。
《操神術》では「行け!鉄人!」「パンチだ!ロボ!」「ロケットパーンチ!」
「任務・・完了(自爆」「ミラクルゥ!ドリルッ!」など鉄神を使って様々なことができます。
具体的に言うと、空を飛んだり巨大な拳で邪神と戦ったりなどです。
これらの《アーツ》はレベルアップすることによりどんどん増えていき、
キャラクターの成長を強く感じることができるでしょう。
4.プレイした感想
第一に、このゲームはキャンペーン向きの、
成長と世界観を楽しむことができるゲームだと思いました。
シナリオの前半部分は事件の調査、後半は退魔アクションといった感じのセッション
になることが多くなってくるであろうこのゲームは。
判定自体の難易度は比較的簡単で、戦闘は派手になることが多いように感じます。
戦闘のデータ的にはHPの高い敵と長時間戦うイメージです。
緻密な戦略というよりはヒロイックなイメージの方が強くなるでしょう。
そして調査パートで感じるのは、ファンタジーRPGなどにも感じる、いい意味での
「不便さ」です。街の移動はもっぱら徒歩ですし長距離の連絡は電報でしか届きません。
しかしその不便さをいかにPC達の協力でおぎなっていくかを楽しむことができる
ゲームであるように感じました。
製作者の目指した「不便な冒険」と「ヒロイックな活躍」の異世界が
よくあらわれているように思います。
ルールブックに書いてある資料をあらかじめ読んでおかないと世界観がわからずストレスに
感じてしまう事があるかもしれません。
5.最後に
この「秘神大作戦」は魅力ある世界。「大正時代」を表そうとした傑作です。
いかんせん資料集めの手間と、プレイヤー間の意思疎通が手間に感じることはありますが
それを補って余りある、楽しい冒険を与えてくれるシステムです。
一人でも多くの方がこの夢と浪漫あふれる異世界「大正」を楽しんでくだされば、
このゲームを愛する者の一人として、非常に嬉しいことです。
大正は面白いんだよっ!!(戦闘竜)
追伸:このゲームをやられる際には是非公式HPを参照してください。エラッタが
山のように出てます・・・・。
会長閣下